おいしい手紙 第4号 つれづれこぼれ話

おいしい手紙第4号、2021年2月21日(土)に第一弾の発送を終えました。紙面で紹介しきれなかったお話を、こちらのページでこぼれ話としてご紹介します。

もち米も古代米も自家栽培。下里地区と色川地区、二ヶ所に田んぼがある

荒木家の米栽培は、ウルワツさん(哲さん)の担当だ。ウルワツさんがもともと米作りをしてきた下里地区の田んぼと、色川の田んぼ、二ヶ所で栽培をしている。米ともち米、早稲の黒米を栽培するのが下里地区で、色川では晩稲の黒米、赤米、緑米の古代米を栽培している。耕作面積は、今は3〜4反に落ち着いているが、かつては10反ほど耕作していた時もあったという。いろんな人に頼まれて引き受け続けていたら増えてしまったとのこと。

ウルワツさんは、黙々と作業できる胆力と体力を持っているうえ、田作業のスピードも速い。田植え前の田んぼで畔を塗り固める「畦塗り」という作業、色川では鍬(くわ)ですべてを行う人が多いが、ウルワツさんは土をあげる作業を手で行う。下里の人がやっているのをみて取り入れた方法なのだそうだ。ヒロさんが鍬で、ウルワツさんが手で、端と端から畦塗りをしてみたところ、ウルワツさんが圧勝だった、という話もしてくれた。

もち米も古代米も豆も。自分で育て餅まで作る「農家の餅」

荒木家は春から秋にかけて米づくりをし、稲作の農閑期である冬の間には餅屋になる。百姓仕事の一部として、餅づくりをしている感覚なのだという。そのニュアンスを表現したくて「農家の餅」として売っている、まだこれで完全にしっくりきているわけではないんだけど、とヒロさんは話していた。

もち米も古代米も、収穫後はもみ状態で納屋に保管している。以前住んでいた人が作ったらしい立派な納屋は、まさに穀物庫という雰囲気だった。餅作りの最初は、その保管庫から大野区の共同もみすり機に運び、もみすりをするところから始まる。もみすり後は浸水だ。玄米は毎日水を代えつつ三日間浸水し、ほかの餅は前日の朝から浸水しておく。餅をつく日は、早朝、豆を炒るのが最初の仕事。餅つき機で3種類の餅を蒸してつき、ばんじゅうに入れてのす。使っている雰囲気のよい木製のばんじゅうは、かつての色川中学校で使っていたものだ。余談だが、ばんじゅう以外にも、荒木家にはとっても雰囲気のよい古道具がたくさんあって、それを見せてもらうだけでも楽しかった。話を餅に戻して、のした餅は、乾き加減によって前後するが、だいたい翌日午後までおいておき、いわゆるギロチン型のもち切り機で切って包装し、出荷する。

今回はお届けしていないが、荒木家はもうひとつピーナッツ餅というものも作っている。ピーナッツは炒るのではなく、餅といっしょに蒸して一度取り出し、最後に混ぜ込んでいる。

荒木家の風景

荒木家に取材と称して(ちゃんと取材ですが)うかがった。子どもたち含めて、荒木家すてきだなあ、いいなあ、としみじみ思った。側からみているからなのかもしれないけれど、ソーシローは最近すごく良いお兄ちゃんになってきているようにみえる。七輪で餅を焼いたり、薪割りをしたり。トランプの神経衰弱をして遊んだのだが、ヨーちゃんはルールがよくわからずにすぐにカードをひっくり返してしまう。「もー!仕方ない、ヨーちゃんのカードはラッキーカードね」。ラッキーカードとは、ヨーちゃんがオープンにしてしまったカードはそのままにして、手番の人が選んだカードがそのカードと一致すればもらってオーケー、というルールらしい。ヒロさんかウルワツさんが考えたルールなのかもしれないが、弟をのけものにせず、それほど怒りもせずにルールの方を変える…ささいなことかもしれないが、私は感動してしまった。(ちなみにそのあと、よーちゃんが止まらなくなってカードはほとんどオープンになってしまい、「だめだこりゃ、別のことしよー」とソーシローが笑顔で言って神経衰弱はお開きになった。その判断と対応にも驚かされた)

ヒロさんは、冬仕事として藁ビジネス?を画策中らしい。餅の商品開発とか、ポップを書いたりとか、アイディアがポンポン出てきて実行していくのがヒロさんだ。いつもおもしろいことを考えているので、話を聞いているととても楽しい。

なにはともあれ、おいしい手紙第4号、荒木家に大変お世話になり、完成することができた。届いた方はきっと、お餅、お米、そして荒木家のこときっと好きになったんじゃないかなと思っている。荒木家の餅屋シーズンは11月後半から2月いっぱいまで。荒木家の農家の餅をまた食べたい方は、また来年をお楽しみに。古代米、黒米はネットショップで通年販売しています、気に入ったらぜひまたご利用くださいね。